ウーパールーパー成体 (陸化、上陸、変態) の飼育



アメブロで何度かウーパールーパーの陸化 (上陸、成体、変態) の記事を書いてますが、今でも飼育や生態に関してのお問い合わせが来ます。


今まで飼育環境の画像がなかったので今回は実際に飼育していた環境の再現画像を用意しました (^O^)

※一部アメブロと重複する内容があります。


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皆さんご存知のウーパールーパー

サンショウウオの仲間ですが、幼形成熟といわれる種で幼形体で成熟、繁殖が可能な生き物です。

カエルに例えるとオタマジャクシの状態で繁殖するイメージですね。

不思議です (^o^;)


そんなウーパールーパーも稀にですがサンショウウオ化する場合があり、成体、陸化、上陸、変態などと呼ばれる状態になります(以下陸化とします)

リューシ金環有りの陸化個体
リューシ金環有りの陸化個体



最近よく聞かれるのが


「どうしたら陸化するのですか?」との問いですね


正直私にはわかりません…

当方は普通の養殖業者で魚類が専門ですがウーパーも年間の養殖販売数が6000~12000匹と多くの取り扱いがあります。


夏以降の在庫より、いつの間にか陸化している個体がいる感じなので当方では純粋に確率により陸化してます。

0.5%以下の確率ですかね

その年の夏以降の在庫数にもよりますが毎年10匹前後は陸化してます。


なかには「ホルモン剤や薬品を使うと陸化する」との話を聞きますが…

今のところ実際に試した話は聞いたことないし私は使ったことも使うこともないのでどうなるかは不明ですね (^_^;)



この記事は当方での実際の経験による内容になっています (^o^)


当方では陸化個体を複数飼育、管理、販売しているので飼育方法、注意点など画像を交えて説明していきたいと思います (^-^)


まず必ずといって聞かれるのが

短命なのか?

弱いのか?

飼育が難しいのか?

ですね


私が飼育、管理してみての感想ですが


答えは全てNOです。


お問い合わせのなかで「陸化は短命で1~2年ほどしか生きないのでは?」の問いは必ずといっていいほどあります。


そんなことはまず ない ですね (^_^;)

なんでそうなるのかわかりませんが、飼育の仕方が間違ってるんですかね?


寿命はウーパーと変わらない印象です。

かつての飼育個体 (非売品) では10年以上生きた個体もいます。

といっても多くが10年に満たないで販売してしまっているので全体的な平均とまではハッキリしませんが (ウーパーも同じです 笑) 陸化、ウーパー共に10年以上は生きます。

あくまで私の飼育個体での比較ですが。


陸化個体は弱くないですよ

ウーパーに比べ水質悪化に強いし基本的に性質が変わるのでウーパーによくある病気にはかかりにくいです。

主に感染症ですね


陸化個体の飼育自体もウーパー飼育の延長?的なイメージで注意点はありますが特に難しくはないです。


まず陸化しそうな個体の体は若干細くなり、外顋も短くヒレも無くなり始めます。

やがて顔がカエル?のようになり (目が出て口が大きく顔全体に厚みがなくなります)

陸化が完了すると手足の力が強く体のヌメリが無くなり脱皮するようになります。

陸化超初期個体
陸化超初期個体
陸化超初期個体
陸化超初期個体

※上の個体 (リューシ) は脱皮の皮がカップ内に散らばってます。

※下の個体 (アルビノ) はよく見ると脱皮が始まってて、頭部、脇腹に黒い薄皮が見えます。



次の画像が陸化した個体ですね

金環あり個体は陸化すると金環部分の面積が多くなり瞳部分が小さくなります。

リューシ  (左)金環なし個体   (右)金環あり個体
リューシ (左)金環なし個体 (右)金環あり個体
アルビノ     (左)金環なし個体        (右)金環あり個体
アルビノ (左)金環なし個体 (右)金環あり個体
左)ミューテーション陸化  右)まだ外鰓残ってるブラック
左)ミューテーション陸化 右)まだ外鰓残ってるブラック



ラメ系 (ゴールデン、マーブル) は陸化すると個体によりますがラメ部分が丸みのある模様になります。

ゴールデン   左)ラメ少個体   右)ラメ模様個体
ゴールデン 左)ラメ少個体 右)ラメ模様個体
マーブル   (左)ラメ少個体   (右)ラメ模様個体
マーブル (左)ラメ少個体 (右)ラメ模様個体


陸化個体はその後も成長しますがウーパーほど大きくはならないですね

20㎝程度までと思います。



ウーパーは30㎝超えます↓

※成長点が過ぎると体はある程度で尾がじわじわ伸びて全長が長くなります。

魚の尾長種と同じ感じですね



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それでは飼育方法になります。

まず最も気を付けるのが水深です。深いと溺れます

※ウーパーの陸化個体水中に依存するので基本水中飼育です。


環境は

陸有り、無し

ろ過有り、無し

砂利有り、無し

いずれも大丈夫です。


最初の画像がこちら(※再現になります)


ウーパーの養殖を始めて2年目だったと思いますが、最初に陸化した1匹を実際に飼育していた環境の再現になります。


当時はスマホもなく資料もないので、とりあえず収納BOX?にただ低水深に砂利で陸を作っただけで、ろ過も無い状態です。


エサウーパー時代と同じ冷凍アカムシ沈下性の人工飼料

砂利はすぐ崩れますが特に問題なかったです。


バクテリアが効いてくると白濁り系ヌルヌルの汚れではなく、黒系の汚れで濁りはなく汚れがすぐに沈殿する感じになりました。

あまり管理が出来ず汚れだらけで水が真っ黒になる場合でも元気でした (水は腐ってないので匂いません)


ウーパーに比べ水の汚れには強い印象で病気にはならなかったですね。


メンテナンス性がよいわけではなく、バクテリアが効くと水換えはあまりしなくて大丈夫ですが、陸部分の砂利を直したりすると汚れが出てきたりと観賞的には難がありますかね…


ですが容器を水槽にして水換え、砂利洗いを頻繁にすれば観賞的にも大丈夫と思います (^-^)



次がろ過無し砂利なし環境で基本的にストック個体と変わらない環境です。

当方3年目以降陸化個体が増えてきてまとめて管理していた時の環境で、頻繁な水換えが必要だったので短期間だけの飼育環境でした (^_^;)


※画像は当時の再現になります。


再現と言っても実際は60㎝水槽でしたが、実際飼育するとこんな感じかな?的な意味合いで撮影には小型水槽使いました。

小型水槽だと水換えが楽なので現実的かなと (^_^)


流木が入ってますが、水換え後入れたり入れなかったりでしたね (^o^;)

実際は複数匹入れてたので水はすぐ白濁りでバクテリアの定着する場所も底、壁面のみなので当然水質は安定しなかったです… (-_-;)


水換えが手間だったので2~3ヶ月だけの飼育環境でした。

この後、違う環境を試したら、これが大失敗となりました (  ;∀;)

失敗例は記事後半に書きます。


現在陸化個体のストックは個別プリンカップ陸無し低水深で上記環境の簡易版ですかね

水換えは2~3日に1度ですがプリンカップ管理は小回りが効く環境なので、水換え自体はすぐ終ります(笑)


ストック個体の水換え直前ですね↓

※水換え直前で水が汚いです…

下の個体は脱皮中で首に頭部の皮があり、体に薄皮が見えます。



次が上記環境の応用で実際には飼育していませんが、ろ過をセットした例です。

バクテリアが効けば若干水が長持ちすると思います。

メンテナンス性と水の安定がそこそこの環境ですね。




次が当方で一番長く飼育していた環境で、水質の安定、生体の状態が良かったです。

産卵もしましたね (^o^)

かなりオススメの飼育環境になります。

※陸に上がります。



↓は実際の飼育個体

※アメブロ記事からのスクショになります。

当時の飼育個体で産卵してます。



画像は60㎝水槽で再現していますが、実際飼育していたのは90㎝水槽です。


メンテナンス性は良くない (砂利部分) ですが、水換え、ろ過の洗浄程度で問題なかったです。

結局最後まで砂利は洗いませんでした (笑)


とにかく水は安定して、足し水のみで放置の時期もありました。


一番最初の環境の応用で砂利は園芸用のネットで土止め

投げ込みろ過入りで水深は若干あります。

陸化個体の動きも一番良かったですね。


砂利の中に汚れが溜まりますが嫌気性バクテリアの住みかになってたと思います。


応用で砂利にエアストーンを埋め込めば砂利がろ過になるかな?とも思います。

ミミズを入れておくのもいいと思いますが試してないです

砂利が崩れるかも?ですが時には陸化個体の餌になり、砂利中で繁殖して水質浄化に役立ちそうな気がします (^_^)


ちなみにですが釣り餌のミミズは水没した環境でも増えます。


以上が実際に飼育していた環境&応用になります (^O^)



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では飼育方法ですが

基本ウーパーと変わらないと思いますが、若干気を付けるところがあります。


水深は上記の通り必ず低水深でウーパーと同じ様に飼育しますが、ウーパーに比べ痩せやすいです。

食いが落ちる個体もいます。

餌はウーパー時代と同じで冷凍アカムシと人工飼料で大丈夫ですが、私の場合複数飼育だったので個体により痩せを防ぐ為、回数を増やしたり沼エビなどを入れてました。


沼エビは残餌を食べたり陸化個体の餌となり、痩せ防止や残餌による水深悪化を防ぎかなり有効でした。

同じ理由でミミズも有効と思います (実際ミミズは試してませんが)


沼エビは一度に大量に入れるのではなく、10~30匹程度を入れておいて減ったら追加のほうがいいですね。


その間予備の沼エビは別容器でストックや増やしておいたりするのがいいと思います。


ミナミヌマエビなんかは比較的安価で入手しやすく飼育、管理も確立されてるのでいいと思います。

※陸化個体はヌメリが無く沼エビを大量に陸化個体の飼育容器に入れると陸化個体が沼エビの集団に食われます。


他に陸化個体はウーパーより水質悪化に強いです。

当方では病気らしい病気はしてないですが沼エビ大量投入によるキズからカビが生えた事があります。

放っておいたら治りましたが (笑)


ウーパーは水質悪化や感染症で落とす場合が多いと多いますが陸化個体はそれらの心配はあまりないと思います。


陸化個体の複数飼育では欠損個体も出ませんでした。

顎の力なのか、水中での動きが手足に依存していてウーパーのように体全体を使って引きちぎる動作に向かないのか、または食性 (嗜好) なのかは不明です。


あと前に書いてた大失敗の飼育環境ですが、陸化個体を飼育してるうちにウーパーに比べ強い印象があって水深があっても陸があれば大丈夫かな?と思って25㎝?程度の水深に陸を作って水質の安定を狙いました。


結果

溺れます (  ;∀;)


陸に上がりにくい環境だったせいかもしれませんが、空気呼吸のために水面まで泳ぎます。

キツそうです…

ヒレが無いのと浮力も無い感じで、繰り返すうちに力尽きてしまいます…

結果

落ちます



他に水質浄化目的で入れてたウィローモスが成長し、陸化個体が絡まって空気呼吸が出来ずに溺れてしまいます。


結果

落ちます


以上が当方で実際に飼育してみての経験になります。


事実ではない情報に基づいたお問い合わせが非常に多く、今回新たに記事を書きましたので参考にしてください (^_^)


陸上飼育してみたらこうでした

水中飼育してみたらこうでした

だからこうしてみました。

そしてこうなりました。

と試行錯誤して結果が出ると思います (^-^)



では最後に

ウーパーでも陸化個体でも飼育する方の飼育環境により大きな差が出ます。


ご自身の飼育環境に合った飼育方法で試行錯誤してみるのもアクアリウムの楽しみと思います (^-^)


                                   

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